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新築で外壁を黒にした人は、何に失敗や後悔を感じているのか

新築で外壁を黒にした人は、何に失敗や後悔を感じているのか

黒い外壁は、スタイリッシュでかっこいいですよね。モダンな外観から和風の外観まで幅広く合うので、定期的にトレンドになります。

しかし、外壁を黒色にするときは、注意しておきたいことがあります。黒色が持っている強い個性には、長所だけでなく考慮すべき短所もあるのです。

本稿では、黒い外壁の特徴や、一般的によく聞く失敗事例をご紹介します。新築住宅の外壁の色をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

黒い外壁のデメリット(短所)

新築で黒い壁を採用した人の後悔事例

さっそく、黒い外壁にした方がどこに失敗や後悔を感じているのか、よく聞く事例をご紹介します。これを、一般的な「黒い外壁の短所」と考えていただくとよいでしょう。

汚れやキズが目立って、気になる

建築主が感じている「後悔」の中でよくあるのが、汚れに対する不満です。とくに砂埃のような白っぽい汚れが目立ちやすく、凹凸のある表面の外壁材ほど気になります。

たとえば、以下の地域は砂埃が舞いやすいので注意が必要です。表面のテクスチャが滑らかな外壁材か、あるいはセルフクリーニング機能のある外壁材にされるとよいでしょう。

・交通量が多い道路沿い
・海岸の近く
・黄砂が到達する地域

雨による土の跳ね返り鳥のフンも目立ちます。反対に、窓の隅等にできる黒い雨垂れ跡は目立ちにくくなります。白い外壁と、真逆ですね。

また、サイディングや金属系の黒い外壁は、キズがつくと基材の色が見えて目立ってしまいます。まわりの色を引き立てる黒色の長所が、裏目に出てしまった形です。

キズは、程度にもよりますが、部分補修できます。もしも気になるキズができてしまったら、施工会社に相談してみましょう。

隣人が不満を感じている

黒い外壁は、男性や若年層を中心に人気です。いっぽうで、黒色を嫌がる人も少なくありません。

建築主が満足を感じていても、近隣の方が「圧迫感を感じる」や「暗くなったように感じる」等の不満を感じているケースもありますので、ご留意ください。

とくに、狭小地などで隣家が近い場合は注意が必要です。隣家の窓に黒い外壁が覆いかぶさると、圧迫感を与えてしまいます。

光も、黒い外壁が吸収してしまい、お隣の窓まで届かなくなるでしょう。お隣との間にあまり空地がない場合は、一定の配慮が必要です。

熱を吸収しやすい

物体が光源に照らされると、一部の波長の光は反射して、残りを熱エネルギーとして吸収します。そして、反射された波長の光が「色」となって見えます。

では、白いものや黒いものは、どのような波長の光が反射されているのでしょうか。

・白いもの ⇒ ほとんどすべての波長帯の光が反射される
・黒いもの ⇒ 多くの波長帯の光が吸収され、熱エネルギーになる

じつは、黒いものはほとんどの光を吸収して熱エネルギーに変えてしまいます。よって、黒いものは他の色のものに比べて、表面温度が高くなりやすいのです。

ですから、黒い外壁は熱を持ちやすく、夏場は触ってヤケドしないように注意が必要です。とくに、ガルバリウム鋼板等の金属系外壁は熱伝導率が高く、すぐに熱くなるのでお気をつけください。

なお、外壁が熱いからと言って室内も暑くなるとは限りません。これは外壁の中の断熱材の働きによるもので、外壁を黒にするなら高性能の断熱材(熱伝導率が低い)が必須と言えます。


黒い外壁のメリット(長所)

黒い外壁のメリット(長所)

黒い外壁には、長所もたくさんあります。代表的なものをご紹介しましょう。

洗練された雰囲気の外観になる

黒系の無彩色は、さまざまなプラスの雰囲気を持っています。たとえば、黒にこんな印象を感じておられる方は、少なくないでしょう。

・風格
・威厳
・高級感
・重厚感
・神秘性

このような印象から、黒は個性的な雰囲気を醸し出しやすい色です。とくに和モダン系やスタイリッシュ系の外観と好相性で、町家のような伝統的な家やキュービックなモダン住宅でも、無理なく使えます。

また、山紫水明との調和や侘び寂びを追求してきた日本の伝統色は、茶系や青系、無彩色系を中心にとても階調が豊かです。外壁の「黒」もさまざまな色があり、選択できる点も魅力のひとつと言えます。

たとえば、外壁の主要メーカー「Kmew」のサイディングカタログで探すと、少しの時間でこれだけたくさんの「黒」がみつかります。

ブレンドブラック、ブリックブラック、チタンブラック、アイボリーブラック、チャコールブラック、ソイルブラック、サテンブラック、フォーマルブラック、サトルブラック、ボワブラック、マックスブラック、マットブラック、シャインブラック、コモンブラック、メタリックブラック、鉄黒、アイロン

黒も、白系や茶系に負けないくらい、外壁選びが楽しめる色です。

他の色と合わせやすい

無彩色である「黒」は、色味(色相と彩度)がない刺激の少ない色です。ですから他の色と合わせやすく、コーディネートが簡単です。

中でも「白」との組み合わがポピュラーで、アイボリーや生成り色などのオフホワイトも含め、外壁を「白x黒」のツートーンにした家が珍しくありません。

黒は、控えめに黒の印象を主張しながら、有彩色の印象を引き立てるのがうまい色です。ポスト等、ワンポイントに彩度が高い差し色(アクセント)を使っている家をよく見かけます。

・黒に赤系の差し色:クールかつ情熱的な印象
・黒に青系の差し色:落ち着きと若々しさを併せ持った印象
・黒に黄系の差し色:ポップだが鋭い印象
・黒に紫系の差し色:ミステリアスかつ高貴な印象

茶系も、問題なく合います。鉄や鉱石を思わせる黒と、土や植物を連想させる茶は、調和が取りやすい組み合わせです。

外壁の素材やテクスチャをうまく活用すると、有機的なラスティックスタイルや無機質なモダンスタイル、中間的なインダストリアルスタイルなどざまざまな演出ができます。

しっかりコーディネートしてあげることで、黒い外壁の家は、近隣の環境や住宅に溶け込ませることができます。

退色(色あせ)しにくい

じつは、黒色は退色しにくい色です。ただし、退色より早くツヤがなくなりますので、色あせた感じになることはあります。

塗料に含まれる顔料(色の成分)は、紫外線や雨で退色します。しかし、黒系顔料のカーボンブラックは、原子どうしの結合が強く紫外線によって破壊されることがほとんどありません。

いっぽう、白系の酸化チタンも結合が強い顔料です。しかし、こちらはラジカルと呼ばれる塗膜破壊因子が発生しやすく、経年でチョーキング(触ると白い粉がつく)を起こします。

ちなみに、藍色も紫外線に強い色です。反対に、赤や黄は色あせが早い色です。印刷のお仕事をされている方や、車が好きな方は、このへんのことにお詳しいのではないでしょうか。


新築の外壁を黒にする際の注意点

新築の外壁を黒にする際の注意点

最後に、黒い外壁を採用する方に知っておいていただきたい注意点を4つご紹介します。長所や短所とあわせて、把握しておきましょう。

黒色の特性を知っておく

黒い外壁をご検討中の方は、黒色の特性を知っておかれるとよいでしょう。黒色には、以下の性質があります。

・収縮性:実際より小さく感じさせる
・後退性:実際よりうしろに感じさせる
・強硬性:実際より堅く感じさせる
・重量性:実際より重く感じさせる

このような性質から、黒色は外観を引き締めたいときに効果を発揮します。求める外観の雰囲気がこれと真逆の場合は、採用を控えるか部分的な使用にとどめておくほうがよいでしょう。

なお、黒色から連想するイメージにはポジティブなものだけでなくネガティブなものもあります。両方の例をあげておきますので、把握しておかれるとよいでしょう。

闇、拒絶、遮断、孤独、力、強さ、自信、恐怖、男性的、威厳、不吉、堅い、重力、重厚、上質、高級、プロフェッショナル、クール、フォーマル、静寂、沈黙、寂しさ、神秘

一部の高機能塗料に黒色がない

一部の高機能塗料は、黒色をはじめ、濃い色がありません。たとえば一部の「遮熱・断熱塗料」は、効果を発揮できるのが白系や淡色系であるため、極端に濃い色のものがありません。

「セルフクリーニング機能」を持つ光触媒塗料も、白系や淡色系がほとんどです。塗膜の劣化を抑えられる「ラジカル制御型塗料」も、成分に白系の顔料が含まれるため、製品によっては濃い色がありません。

外壁塗装の塗り替え周期は、10~15年くらいです。10年先の塗料事情がどうなっているか分かりませんが、現段階では、一部の高機能塗料においては濃い色の選択肢が限られるとお考えください。

カラーコーディネートに慎重さが求められる

黒色には、まわりの有彩色を引き締めて目立たせる効果があります。さらに、威厳や高級感など黒色が持つポジティブな印象も付加してくれるので、とても使い勝手がよい色です。

たとえば、黒いお皿に盛り付けた料理は、素材の色が引き立つだけでなく高級そうに見えますよね。なんとなく、よいものを食べた気分になります。

では、外壁を黒色にした場合はどうなるでしょうか。以下のものとのカラーコーディネートは、どのように考えたらいいでしょうか。

・屋根
・窓サッシ
・玄関ドア
・樋(とい)
・ウェザーカバー
・オーバーフローキャップ

じつは、黒い外壁とその他の外装部材のカラーコーディネートは、一筋縄ではいきません。と言うのも、一部の部材はカラーバリエーションが限られ、ものによっては黒色がないものもあるのです。

さらに、家は外構(お庭)や景観との調和も求められます。ですから、建築会社のコーディネーターにカラースキーム(色彩計画)をつくってもらい、現地で確認するくらいの慎重さが必要です。

なお、一部のサッシ(窓枠)は外観色と内観色が自由に組み合わせできません。外観色を黒にすると内観色も黒になり、インテリアと合わせにくいといったことも起こり得ます。ご注意ください。

黒い外壁が使えない地域もある

じつは、黒い外壁が使えない地域もあります。各自治体は、景観計画にもとづき外壁に使用できる色をマンセル値で定めています。この色彩規定で、極端に明度が低い色の使用を禁じている地域があるのです。

土地探しから始める方は、ご留意ください。どうしても黒い外壁(とくに、真っ黒の外壁)にしたい場合は、自治体の景観計画を確認してから土地を買うほうがよいでしょう。


【まとめ】新築で外壁を黒にしたい方は、いろんな建築事例を見ておこう

黒い外壁はスタイリッシュかつ高級感があり、モダンな家や和風の家でよく採用されています。しかし、近隣に対する配慮や景観規定への対応が求められるケースがあり、注意が必要です。

設計において、外壁の色を決めるタイミングはわりと早いです。家づくりを思い立ったら、ご家族で意見を出しあいながら、一緒に検討してみてはいかがでしょうか。

創建ホームのホームページでは、さまざまな外観の事例をご紹介しています。間取りやインテリアのアイデアも満載ですので、ぜひ参考にしてください。

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