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「家を建てるなら、ちょっとこもれる心地よい空間が欲しい」⸺ と思ったことはありませんか?じつは、そんなあなたにピッタリの間取り《ヌック》が話題になっています。
とは言え、ヌックはまだ知名度が低いですから「それって、本当に心地よい空間なの?」「オシャレで実用的な空間にできる?」「使わなくなるのでは?」と不安を感じる方も少なくないでしょう。
そこで本稿では、ヌックの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。本稿を読めば、あなたのお家にヌックが必要かどうか分かりますので、ぜひ最後までチェックしてください。
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ヌック(nook)は、2021年の初めごろから一気に注目され始め、どんどん注目度が上がっている小部屋の一種です。たとえば、Webで「ヌックとは」と検索する人が増え続けています。
あなたは、ヌックをご存じでしたか?
「うーん、ちゃんと理解していないな……」という方に向けて、ヌックの概要からお伝えしましょう。この機会に、ヌックの知識を深めてみませんか?
近年話題のヌックは、スコットランドの「イングル・ヌーク (Ingle neuk)」に由来します。
イングル・ヌークは、中世石造住宅の暖炉の側方に設けた腰かけ、あるいは腰かけをともなうクボミを指します。
日本では、古くは1914年竣工の旧西村家住宅の居間にイングル・ヌークが設けられています。
じつは100年以上前から、欧米からの輸入住宅とともに、ひっそりと取り入れられていたのです。
現代のヌックは、「ちょっと、こもれる空間」「こぢんまりしていて、居心地がいい空間」として認識されています。
欧米では、以下のような形で利用されているようです。
・ブレックファースト・ヌック:ちょっとした食事をとるための小スペース
・リーディング・ヌック:読書用の小スペース
日本のヌックは、LDKの一角や階段下などに設ける傾向があります。間取り上の主な特徴は、以下のとおりです。
・ドア等で区切らず、素材や段差でゆるやかにゾーニングする
・広さは1~3帖くらいで、お部屋未満のスペース
ヌックは隠れ家のような趣で、開放とは対照的な空間です。しかし、独特の居心地のよさを感じられます。外敵から身を隠すために穴ぐらを根城にしていた人類の本能が、そう感じさせるのでしょう。
「こぢんまりとした、こもれる空間」と聞いてピンと来た方や、「落ち着けそう」と感じた方は、ご自宅にヌックを取り入れてみてはいかがでしょうか?
なぜ、日本で急に「ヌック」が人気になったのでしょうか?一過性のものでしょうか?
先述のとおり、ヌックは2021年の初めごろから一気に注目され始め、その後も注目度が上がり続けています。これは、コロナ禍が影響したと考えられます。
2021年の日本は、COVID-19の影響下で社会全体が大きな変化を迎えていました。多くの企業で在宅勤務(テレワーク)が一般化したのが、このころです。
在宅勤務の一般化は、私たちに以下のような変化をもたらしました。
・自宅で過ごす時間が大幅に増えた
・居住空間の快適性や機能性への意識が高まった
・自宅を仕事場や学びの場としても使うようになった
・自宅におけるプライベート空間の必要性が高まった
上述のように私たちが変化する中で、「ちょっとこもれる空間」をご自宅に取り入れたい方が増えたのでしょう。それが、近年の「ヌックの注目度上昇」につながったのではないでしょうか。
今後も、一定の企業で在宅勤務制度が残り続けそうです。ですから、ヌックのような空間は、今後も一定の需要を保ち続けるのではないでしょうか。
もし、あなたも住宅にワークスペースやちょっとしたプライベート空間を求めているのであれば、ヌックの採用を検討してみてください。きっと、暮らしが豊かになりますよ。
なぜ、ヌックが注目されているのでしょうか?ヌックに、どんなメリットがあるのでしょうか?
ヌックのメリットをご紹介しましょう。
・家族とつながりながら、個人の時間を楽しめる
・目的やメリハリのある個性的な空間をつくれる
・デッドスペースを有効活用できる
ヌックには上述のようなメリットがあるため、それに魅力を感じる方に注目されています。
それぞれ、詳しく解説しましょう。
ヌックは区切られたスペースですが、完全な個室ではありません。ですから、周りにいる家族とほどよい距離感を保ちつつ、自分の時間を過ごせます。
たとえばリビングにリーディング・ヌックを設けると、家族がテレビを見ている横で、あなたは読書に集中できます。個室ではないので、家族と完全に分断されません。
「リビングで家族と一緒に過ごしたいけど、パソコン作業に集中できるスペースが欲しい」⸺ そんな方にも、ヌックがおすすめです。
ヌックがあることで、空間に立体的なメリハリが生まれます。のっぺりしがちな広い空間に変化を与え、洗練された雰囲気を演出できます。
たとえば、広々としたリビングは単調な印象になりがちです。しかし、リビングの一角に小上がりやベンチを備えたヌックがあれば、個性的で動きのある空間になります。
ヌックによって、空間に目的を与えることもできます。先述の「リーディング・ヌック」が、よい例ですね。
空間に目的やメリハリをつくりたい方は、ヌックを活用してみてはいかがでしょうか?きっと、ゲストに「オシャレな家!」と褒めてもらえますよ。
ヌックは基本的に小さいスペースであるため、家の中のデッドスペースを活用できます。ヌックなら、階段下や廊下の途中、窓辺などのちょっとしたスペースを有効利用できますよ。
たとえば、階段下はヌックに向いています。本棚を設置して読書を楽しんだり、隠れ家のようにひとり時間を過したりできる場所をつくれるでしょう。
子育て中で、ただ広いだけのLDKがイヤな方は、一角にキッズスペース・ヌックを設けてみてはいかがでしょうか。小さいお子さまでも、家族の気配を感じながら、安心してひとりで遊べるでしょう。
「家の中の限りある空間を、できるだけ有効活用したい」とお考えなら、ヌックを設けられないか検討してみましょう。
メリットが多いヌックですが、知っておきたい短所もあります。ご紹介しておきましょう。
・床面積になるため、他の間取りにしわ寄せが行く場合がある
・設置にともない、費用がかかる場合がある
・使いづらいと、活用されない恐れがある
上述のような短所も理解しておくと、つくったあと「こんなはずじゃなかった……」と後悔するリスクが減ります。
それぞれ、詳しく解説しましょう。
新築時にヌックを設けると、他の間取りにしわ寄せが行く場合があります。
ヌックは小さなスペースですが、設けるには場所が必要です。一方、住宅の床面積は《容積率 (敷地面積に対する延床面積の割合)》という法規で上限が設けられています。
たとえば《敷地面積100m²、容積率80%》の土地なら、家の延床面積(床面積の合計)を《80m²以下》に収める必要があります。
床面積にこのような制限がある中で、本当にヌックを設けていいのか、収納にしなくていいのか、よく検討する必要があるでしょう。
間取りの中でもヌックの優先順位が高い方は、設計してもらう建築会社に、そのことを伝えておきましょう。
ヌックの設置には、一定の費用がかかります。ヌックを設けたい方は、設計前にしっかり予算を確保しておきましょう。
ヌックに窓を設けたり、ベンチやデスクを設置したり、照明や換気設備を付けたりすると、その分コストアップにつながります。場合によっては、空調設備や造作家具も必要になります。
このような費用は、収納にしてしまえば不要です。費用に関しては、予算オーバーで後悔しないように、ご納得のうえ設計を進めてください。
ワクワクしながらつくったヌックでも、使い勝手が悪いと活用しなくなる恐れがあります。費用もスペースも無駄になりますので、ちゃんと実用性のあるヌックをつくりましょう。
ヌックは1~3畳程度の小さなオープスペースですので、人によっては「狭すぎた」「収納にすればよかった」と後悔することがあります。実際、物置化してしまうご家庭もあるようです。
「雑誌でよく見かけるから」「オシャレだから」と、とくに目的もなくヌックを設けるのはおすすめしません。ヌックを取り入れる際は、しっかり使用目的を決めてから設計しましょう。
最後に、間取りにヌックを取り入れるアイデアの中から、人気の方法を4つご紹介します。
「具体的に、どんなふうにヌックをつくればいいのだろう?」とお悩みの方は、これからご紹介する実例をヒントにしていただくとよいでしょう。
あなたのお家にぴったりのヌックが、見つかるはずです。
LDKは家族が一緒に過ごす場所であり、家の中でもっともパブリックな場所です。そんなLDKにはプライベートな要素がありませんが、ヌックを設けることで仮の専有スペースをつくれます。
LDKのヌックで過ごすと、同じ空間にいる家族とほどよい距離感が保てます。家族でLDKをシェアしているような感覚で過ごせ、それぞれがプライベートな時間を楽しめるでしょう。
LDKとヌックはゆるやかに区切り、空間にメリハリをつけるとよいでしょう。写真のような《LDKに隣接した小上がりの畳コーナー》を想像していただくと、分かりやすいかもしれません。
家の中で、デッドスペースになりやすく活用方法に困るのが、階段下です。活用方法の定番は収納やトイレですが、ここにヌックを加えると一気に可能性が広がります。
たとえば、リビング階段とヌックはバツグンの好相性です。読書スペースにしたりミニワークスペースにしたり、あるいはペット用のお部屋にしたり、工夫しだいでさまざまな使い方ができます。
ただし、階段下は勾配天井(斜め天井)になり、低いほうがやや窮屈になります。立面図などの高さが分かる図面で、しっかり完成形を想像しながら設計を進めましょう。
ヌックを間取りに取り入れたい方の中には、窓ヌックを見て憧れた方が少なくないでしょう。
窓のそばにヌックを設けると、景色を眺めたり、ひなたぼっこを楽しんだりしてゆっくり過ごせます。読書にも、丁度よいスペースになるでしょう。
ちなみに、出窓をヌックにする場合、一定の要件を満たせば床面積に算入されません。容積率をいじめずに済む空間ですので、狭い敷地で重宝します。
穴ぐらのようなヌックは、子どもの好奇心をかき立ててくれます。まるで子ども用のテントのように、絶好の隠れ家兼遊び場になるでしょう。
ヌックと隣接するスペースは、ハッキリ境界が分かるようにしましょう。「ヌックはオモチャを散らかしていい場所」「隣にオモチャは持ち込まない」などのルールを子どもと取り決めやすくなります。
キッズスペース・ヌックをつくるなら、子どもが成長したあとどのように転用するのか、はじめから計画しておくとよいでしょう。
近年、ヌックの注目度が上がっています。ヌックとは「こぢんまりしていて、居心地がいい空間」のことで、リビングの一角や階段下、窓辺などによく設けられます。
あなたも、階段下にパソコン作業のためのヌックや、窓辺に読書のためのヌックをつくってみてはいかがでしょうか?家族と同じ空間で過ごしながら、自分の時間も楽しめますよ。
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