更新 住宅の知識
注文住宅を建てる計画は、ワクワクする一方で、大きな決断に迫られ不安が募るものです。「これで本当に大丈夫なのか?」と夜も眠れなくなるほど悩んでしまう方もおられるでしょう。
住み始めてから思いもよらなかった問題が次々と出てきたら、後悔で落ち込んでしまいますよね。しかし、他人の失敗談を知れば、後悔を防げたり不安を和らげたりできるかもしれません。
本稿では、注文住宅で後悔しやすいポイントをご紹介して、その失敗リスクを最小限に抑えるための対策をお届けします。「失敗したくない」とご不安な方は、ぜひ最後までご覧ください。
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注文住宅は夢を形にできますが、家は「3回建てないと満足できない」と言われます。住んでみて初めて「ああ……もっとこうすればよかった」と感じることが少なくないのです。
そこで、注文住宅の新築でよくある後悔と、その対処法をご紹介したいと思います。ぜひ、後悔や失敗を防ぐためのヒントにしてください。
「この家、ステキだけど、収納が少なくて……」という声を耳にしたことはないですか?
最初は十分だと思っていた収納スペースが、実際に生活してみると足りなくなったり、その結果家の中が散らかりがちになったり ―― というケースが少なくありません。
そうなるおもな原因は、設計時に以下を怠っているからです。
・収納物をリストアップできていない
・将来的なものの増加を見越していない
・収納スペースの容量を過信している
お手持ちのアイテムや、将来必ず必要になりそうなアイテムを考慮せずに収納を設計すると、容量不足に陥りがちです。
また、図面で見るとたくさん収納できそうに見えても、実際には思ったほど収納できなかった ―― というケースもあります。どうしても、通路や空間のロス等で収納できない部分ができるからです。
屋根裏収納も、有効活用できずに後悔される方がおられます。いざ使ってみると、アクセスが悪く荷物を取り出しにくい、あるいは暑すぎ・寒すぎで使いづらいのが理由でしょう。
対策としては、以下が考えられます。
・ライフスタイルや家族構成の変化を想定して収納計画を立てる
・使い勝手のよい配置を考え、適所に適量の収納を設ける
たとえば「1階に大容量のファミリークローゼットを設ける」など、利便性の高い収納計画を立てることで、生活の快適さが大きく変わります。
「ファミリークローゼットって、なに?」という方は、以下の記事をご覧ください。
》ファミリークローゼットがある間取りのアイデアと、収納方法の実例
収納術を身に着けるのも、よいでしょう。
《いかにうまく収納するか》だけでなく《要るものと要らないものを分ける判断力》や《要らないものを処分する決断力》を身に着けましょう。
これがないと、どれだけ収納容量があっても足りなくなります。
注文住宅で「部屋数が足りなかった」あるいは「多すぎた」というケースはまれです。
一方、お部屋の面積に関しては「狭すぎ・広すぎ」問題が発生しやすいでしょう。たとえば、こんな感じです。
・「子ども部屋が広すぎた」
・「和室をつくったけど、有効活用できていない」
・「もう少しリビングが広ければ……」
子ども部屋を広くしすぎた結果、居心地がよすぎてお子さまが出てこなくなったり、お子さまの独立後に持て余したりされる方がおられます。
近年、そのような失敗を避けるために、子ども部屋をわりと小さめにつくる方が増えています。その分、共有の収納やワークスペースなどに面積を回されています。
和室も、注意が必要です。あると便利そうですよね。ですから《とりあえず》つくってしまい、結果的に有効活用できていない方がおられます。
一方、設計段階では広いと思っていた玄関やリビングが、家具を置くと狭く感じることがあります。それなら、和室の面積を玄関やリビングに回せばよかった、と後悔することに……。
このような後悔を防ぐためには、利用頻度の高いお部屋の広さを優先することが大切です。収納を設けて、なるべく家具を置かなくて済むようにするのもひとつの方法です。
》玄関土間収納のアイデア – おしゃれで使いやすい収納にする方法
家具がお好きな方も、おられますよね。北欧のような家具が主役のお部屋づくりもステキです。
家具を置く場合は、設計図面に家具も書き込んでおくとよいでしょう。「ん?この通路が狭くなる?」とか「壁が足りない」などの問題点に気づきやすくなります。
「毎日の洗濯がこんなに大変だなんて……」「賃貸マンション時代は洗濯機とベランダが近かったのに、一戸建ては1階と2階の往復がつらい」という声もよく聞きます。
洗濯には「洗う、干す、取り込む、畳む、しまう」と、たくさんの動作や動線が生じます。ランドリールームを設けるなどして、洗濯動線が短くなるように工夫するとよいでしょう。
》ランドリールームとは?便利?なぜ、ランドリールームをつくるのか
また、リビングを通らなければトイレや私室に行けない間取りだと、来客時に家族が気をつかってしまうことも。
来客が多いご家庭は、ゲストの動線と家族の動線を分けるとよいでしょう。回遊動線を活用すると《来客中でも使い勝手のよい動線》を実現しやすいですよ。
》回遊動線を活用した間取りの事例 – 家事をラクにするポイントとは
「コンセントが足りない!」と後悔されている方の声は、多いです。
家電が増え続ける現代、コンセントの数や位置を甘く見てしまうと電源不足や電源タップだらけ、延長コードが室内の雰囲気を壊す状態になりかねません。
コンセントは、生活シーンを具体的にイメージしながら、位置を決めることが重要です。「少し多いかな?」と思うくらい設置しておくと、あとから困ることが少ないでしょう。
家具の配置も想定して、隠れてしまわない位置に設置しましょう。お掃除ロボットの基地にも、電源あったほうがいいでしょう。
コンセントはあとから増やしづらい場合もありますので、新築の設計時にしっかりと、かつ慎重に計画しましょう。
「夏は暑すぎて、冬は寒い……」「昼間でも照明が必要……」という後悔事例も少なくありません。これは、設計時の配慮不足や、断熱の仕様が原因で起こります。
たとえば、こんな状況ですね。
・吹き抜けに大きな窓を設けたものの、日差しが強すぎて暑い
・リビング階段にしたら、真冬に冷たい空気が降りてきて寒い
・断熱性を重視しすぎた結果、窓が小さくなり日中でも部屋が暗い
これらの後悔を防ぐためには、窓の配置や大きさをしっかりと検討したうえで、日当たりや風通しを最大限に活かす設計をおこなう必要があります。
たとえば、季節による太陽の位置を考慮した窓の配置や、風が通り抜けるように対角線上に窓を配置するなどの工夫が求められます。また、窓自体の遮熱・断熱性能を高めることも重要です。
》新築時に遮熱するなら?窓ガラス・外壁・屋根をおすすめする理由
開放的な吹き抜けやリビング階段を取り入れるのであれば、住宅の機密・断熱性能を高める必要があります。
シーリングファン等を活用して空気を循環させるのも、おうち全体の温度を快適な状態に保つのに有効な方法でしょう。
「駐車場が狭くて車を出し入れしづらい」「フェンスを付けないお庭にしたけど、防犯面で不安を感じることがある」など、外構に関する後悔もよく耳にします。
これらを避けるためには、車のサイズアップや家族構成の変化を見越した外構計画を立てることが重要です。カーポートを立てるなら、それも考慮した駐車スペースが必要でしょう。
オープン外構の防犯対策に関しては、センサーライトや、踏むと音が鳴る砂利などが有効です。設計図面に車やカーポート、外構の仕様などを書き込んでおくと、ある程度失敗を防げます。
》外構工事とは?注文住宅を建てる方必見!工事の流れや費用相場を解説
一般的、あるいは固定観念として「必要」と思われているものの中には、じつは必ずしも必要ないものもあります。たとえば「窓・勝手口・ベランダ・バルコニー」などですね。
近年は、ベランダやバルコニーを設けない方が増えています。あなたも、何の疑いもなくつくってしまわずに、よく検討されてみてはいかがでしょうか?
注文住宅を建てるとき、理想の家を追求するあまり気づけば予算を大幅にオーバーしていた ―― というのもよく聞く話です。
予算オーバーで生活の質を落とすことになったら、本末転倒ではないでしょうか?予算オーバーを防ぎつつ、理想の家を実現するための費用管理術をご紹介しましょう。
「この部屋、本当にこんなに面積が必要?」と自問することが、コストダウンの第一歩です。なぜなら、注文住宅で最も効率的にコストを削減する方法は《延床面積を減らすこと》だからです。
注文住宅の新築では、大まかな目安として以下のコストがかかります。
・ローコストメーカー:50~60万円/坪
・一般的な建築会社:60~100万円/坪
・大手や高級志向のメーカー:100万円を超えるケースもある
つまり、延床面積が1坪(約2畳)減ると《コストは50~100万円程度削減できる可能性がある》ということです。
設備や建材のグレードを下げても、坪数減ほどのインパクトはありません。そこでコツコツ節約することも大切ですが、やりすぎると残念な気持ちになってくるでしょう。
予算オーバーを防ぐためには《ムダのない間取り》を考えることが大切です。《コンパクトでも暮らしやすい間取り》を目指してみてはいかがでしょうか。
土地を購入して注文住宅を建てる場合、思わぬ付帯工事費が発生するケースがあります。しかも、かなり高額な費用がかかりますので、土地選びから慎重におこないましょう。
たとえば、古家付きの土地を購入した場合、解体工事が必要になります。さらにアスベストの除去が必要だと、費用が大幅に膨れ上がります。
また、土地が柔らかい場合には地盤改良が必要で、これも大きなコストになります。上下水道の引込工事も、忘れてはいけません。敷地内に水道を引き込むには、かなりの費用がかかります。
こうした付帯工事費を抑えたい場合は、地盤が固く、上下水道の引込が既にある更地(建物のない土地)を選びたいところです。建築会社と一緒に土地探しをするのも、よい方法でしょう。
注文住宅の建築は、多くの方にとって人生最大のプロジェクトです。どなたも真剣に取り組んでいるはずですが、完成後に後悔ばかりしている人と、満足度が高い人に分かれます。
いったい、両者にはどんな違いがあるのでしょうか?その違いを知ることで、あなたも満足度の高い家づくりに近づけるのではないでしょうか?
満足度を高めるコツをご紹介しましょう。
家づくりにおいて、家族全員が納得していることが、完成後の満足度を高めるためにとても重要です。
家は、家族全員が長い時間を過ごす場所であり、生活の基盤となる場所です。もしも間取りや設備、デザインが家族のだれか一人の意見で決まってしまうと、他の家族が不満を抱きやすくなるでしょう。
たとえば、家族のだれかが和室にこだわった結果、他の家族が望んでいたパントリーが削られてしまったとしましょう。思いがかなわなかった家族は、家に対する愛着が薄れてしまうかもしれません。
家族全員が満足できる家を建てるために、以下のような希望や意見を出し合いましょう。
・家族それぞれがどのような家に住みたいのか
・どのような暮らしをイメージしているのか
希望や意見を出し合ったら、優先順位を付け、お互いが納得できるように合意形成していくことが重要です。ときには、譲り合いやトレードも必要でしょう。
家は高額ですから、欠陥住宅が建ってしまうと大きなショックを受けるでしょう。欠陥住宅の対極は《長く安心して住み続けられる家》です。そのような家が建てば、満足度が高まります。
長く安心して住み続けられる家にするには、住宅の性能や間取り、さらには周辺環境など多岐にわたる要素を検討する必要があります。例をあげてみましょう。
・耐久性が高く、子や孫にも引き継げる
・自然災害に強く、レジリエンス性が高い
・飽きの来ない不変的なデザイン
・リフォームしやすく、間取りの更新性が高い
・日照や通風、音などの環境が良好
・一定の人口や流動性を維持できそうな地域
上述のすべてをかなえることは、難しいかもしれません。しかし、優先順位を付けて、できる限り合格点レベルにしていく姿勢が大切です。
そのような努力を経て家づくりをおこなうことで「やるだけのことはやった」と思えるようになります。そう思えたら、後悔しにくくなるでしょう。
なお「レジリエンス性って?」という方は、以下の記事をご覧ください。詳しく解説しています。
住宅は建てたあとに修正するのが難しいため、建てる前の綿密な計画が欠かせません。綿密な計画を経て満足度の高い家づくりを実現するためには、専門家の意見を取り入れることが大切です。
インターネット上では、新築した多くの方が自宅を披露しており、参考になる情報も多いでしょう。しかし、それらは発信者の個人的な事例であり、すべてが自分に当てはまるとは限りません。
たとえば、インターネットでステキなリビングのデザインを見つけたとしましょう。それを真似しようとしても、自分に合わないこともあります。なぜなら、以下の条件が異なるからです。
・家族構成
・ライフスタイル
・土地の状況や環境
・ご予算や、その使い方
注文住宅では、なかなか他人の家をそのまま真似るのは難しいでしょう。だからこそ、何件もの家づくりに関わった専門家の意見に耳を傾け、自分の状況に合った《答え》を見つけることが大切です。
専門家は、過去の経験に基づいて、一般の人では気づかないような細かなポイントにも注意を払うことができます。専門家のアドバイスは、後悔のない家づくりに繋がるでしょう。
注文住宅の新築は、夢をカタチにする絶好の機会ですから、ぜひとも成功させたいですよね。よくある失敗を参考にすることで、後悔を防ぎやすくなりますよ。
家族全員が理想の住まいを思い描き、意見を出し合うことで、家づくりはさらにおもしろくなります。専門家の知識を活用することで、自分たちが気づかなかったアイデアが生まれることもあります。
注文住宅の醍醐味は、まさにそのプロセスにあります。本稿で紹介したポイントをヒントに、あなたの家づくりをもっと楽しいものにしてください。
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