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ビルトインガレージは後悔しやすい?注意が必要な事例と対策を紹介

ビルトインガレージは後悔しやすい?注意が必要な事例と対策を紹介

ビルトインガレージは、愛車を守ったり、土地を有効活用したりするのに便利です。車好きの方や、都市部の狭小地にガレージを設けたい方にとって、魅力的な選択肢でしょう。

一方、ビルトインガレージにはデメリットもあります。メリットだけに注目して採用すると、あとでデメリットに気づいたときに「思っていたのと違う……」と後悔することになりかねません。

本稿では、後悔につながりやすいビルトインガレージのデメリットや、デメリットを緩和するための対策をご紹介します。メリットとデメリットを理解してから採用すれば、後悔せずに済みますよ。

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目次

ビルトインガレージの後悔しやすい事例4選と、その対策

ビルトインガレージの後悔しやすい事例4選と、その対策

ビルトインガレージの意味や特徴をご存じですか?意味や特徴を理解すると、長所と短所が見えてきます。

「ビルトイン (built-in)」は「組み込みの、造り付けの、内蔵の」といった意味の英語です。ですから、ビルトインガレージは「建物の内部に組み込まれた車庫」を表わす言葉です。

ビルトインガレージのことを「インナーガレージ」と呼ぶ方もおられます。ビルトインガレージを備えた家は「ガレージハウス」と呼ばれます。

日本でつくられている「ビルトインガレージ」には、以下の特徴があります。

・しっかりとした壁や屋根を持つ「部屋」である
・家の一部であり、居住スペースに隣接している

このような特徴から、ビルトインガレージは特有のメリットを持っています。一方、特有のデメリットも持っています。

ですから、ビルトインガレージを採用する際は、メリットだけでなく、デメリットも把握しておくことが大切です。そうすることで、あとで後悔するリスクが下がります。対策も立てられるでしょう。

では、ビルトインガレージにありがちな「避けたい後悔」を4つご紹介します。

・大きく予算オーバーしてしまった
・音が響くし、排気ガスがこもる
・狭くて乗降車や入出庫がやりづらい
・大震災で半壊・倒壊してしまった

順に、詳しくご紹介しましょう。

デメリット1:建築時のコストアップにつながりやすい

ビルトインガレージは、車を格納するための部屋です。屋根や壁を設けるため、青空駐車場に比べてコストがかかります

また、居室とは違い、車庫の内装は防火のための制限を受けます。準不燃材料を用いて、車庫内で火災が発生しても、一定時間は延焼をくい止め避難時間を確保できるようにしなければなりません。

つまり「木製の化粧合板を張って完成」にはできず、外壁材のような「火に強い素材」を張る必要があるのです。これも、コストアップにつながります。

参考:建築基準法施行令 第128条の5

では、ビルトインガレージにすると、どのくらいのコストアップになるのでしょうか?

コストはケースバイケースで異なるため、断定できません。ですからあくまで目安ですが、屋外にカーポート屋根をかける場合と比較すると、おおむね以下の差があります。

・カーポート ⇒ 1台あたり50万円もあれば屋根と地面をつくれる
・ビルトインガレージ ⇒ 一般的に「40~70万円/坪」くらいかかる

スタンダードな6坪程度のビルトインガレージなら「240~420万円」くらいかかります。カーポートに比べて、かなりのコストアップになるでしょう。

もしも、ビルトインガレージを採用するなら、予算の大きな部分を割かなければなりません。ですから、優先順位の観点から問題がないかどうか、家族でよく話し合う必要があります。

ちなみに、1階にビルトインガレージを設けて3階建てにする場合は、建物の建築コストもアップします。おもな割増因子をリストアップしておきます。

・耐震補強
・不燃建材
・地盤改良

3階建ては、2階建ての住宅に比べて耐震性に配慮が必要です。また、防火地域や準防火地域であれば、防火性能の規定も厳しくなります。これらは、建材等のコストアップにつながります。

さらに、3階建ては建物が重くなることから、沈下を防ぐための地盤改良工事費も増加する傾向があります。

ビルトインガレージをご検討中でしたら、まずはコストアップ因子と、実施可能なコストアップ対策を把握しておきましょう。

デメリット2:音や振動、排気ガスが気になりやすい

ビルトインガレージは、エンジン音が反響したり建物を伝わったりしやすくなります。ですから、ビルトインガレージは青空駐車場に比べて音や振動への配慮が必要です。

シャッターの開閉音にも、注意が必要です。ご近所の方が音に敏感な場合は、トラブルになるケースもあります。シャッターを選定する際は、デザインだけでなく、静音性にも着目したいところです。

また、音と同様に排気ガスもこもりやすくなります。排気ガスがガレージ内に充満したり、室内に入り込んだりしないように、対策を実施しましょう。

デメリット3:乗降車や入出庫がしづらくなる

両側に壁があるビルトインガレージは、乗降車および入出庫が困難になる傾向がありますので、設計時には注意が求められます。

たとえば、間口が狭すぎると、入出庫しづらくなります。何度も切り返さないと入出庫できないようでは、困りますよね。

また、ビルトインガレージ内のスペースが狭いと、乗降車もしにくくなるでしょう。たとえば、こんなことへの配慮が必要になります。

・壁にぶつけないように、ドアを慎重に開ける必要がある
・どちらかの壁にギリギリに寄せて駐車する必要がある

ビルトインガレージ内が狭い場合は、駐車する前に同乗者を降ろさないといけなくなります。そうなると、雨天の際に「濡れにくい」というメリットが生かされません。

デメリット4:耐震性に注意が必要

ビルトインガレージを設けるには、大空間が必要です。さらに、車が出入りする部分には大開口が空いてしまいます。

大空間や大開口のある家は、以下の理由から耐震性が低くなりがちです。

・耐力壁の量が少なくなりやすい
・壁の配置バランスが悪くなりやすい

耐力壁とは「地震や風圧に対抗するための壁」のことで、住宅の耐震性において重要な役割を果たしています。

耐力壁が少ない、あるいは壁の配置バランスが悪い状態の建物は、揺れやネジレが発生しやすくなります。その結果、地震に弱くなる場合があるのです。

とりわけ、コンパクトな土地に建つ3階建てのガレージハウスは、耐震性への配慮が不可欠です。道路側の面の壁や柱が少なくなると、大変危険です。

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ビルトインガレージは危ない?依頼・設計の注意ポイント

ビルトインガレージは危ない?依頼・設計の注意ポイント

さて、ビルトインガレージのウィークポイントを4つご紹介しました。このような短所を把握せずにガレージをビルトインにすると、あとで後悔しかねません。

一方、ちゃんと理解したうえで採用すれば、満足度が高まるでしょう。さらに、設計前に短所が分かっているなら、一定の対策が打てるかもしれません。

では、本稿であげた4つのウィークポイントの対策をご紹介しましょう。

コストアップ対策

ビルトインガレージは、お部屋のようなものです。ですから、青空駐車場に比べてコストアップするのは仕方ありません。しかし、コストアップを軽減する方法がないわけではありません。

まずおすすめしたいのが「ビルトインガレージをつくり慣れている建築会社に依頼する」です。実績が豊富な建築会社なら、以下の優位性があります。

・コストダウンの方法を心得ている
・段取りがよくミスが少ない
・仕入れ価格を抑えられる

上述の優位性があると、余分な労務費や材料費がかからなくなります。一方、施工し慣れていない建築会社は、コストの抑制力が限定的です。うまく価格を下けられないでしょう。

また、これから土地探しをされるのであれば、地盤の弱そうな地域を避けるのもコストダウンに有効です。地盤改良費を節約できる可能性が高まります。

参考:住まいの安心研究所「地盤サポートマップ」

音や排気ガスの対策

住環境では、騒音が大きなトラブルにつながるケースが少なくありません。たとえば、改造車のエンジン音が早朝や深夜に鳴り響き、目が覚めてしまった経験はないでしょうか?

給湯器やペットの鳴き声が原因で、ご近所とトラブルになったケースもあります。ビルトインガレージも、音がこもったり反響したりしやすいので、ご注意ください。

対策としては、以下が考えられます。

・ガレージの横や直上には寝室を設けない
・界壁の中にある間柱を千鳥配置にする
・内装材に防音性の高い建材を使う
・音や振動の発生しにくいシャッターを採用する

寝室は、できるだけ車庫から遠ざけるほうがよいでしょう。また、車庫から出火したときのことを考慮して、車庫に近寄ることなく避難できるルートを確保しておくと安心です。

界壁(室内との間仕切り壁)の中にある間柱は、交互にずらす「千鳥配置」にすると、遮音性能が向上します。音が室内に伝わるのを抑制できるでしょう。

シャッターは、一般的に、巻き上げ方式よりオーバースライダー方式のほうが静かです。音に敏感な方がご近所におられる場合は、静音性が高いシャッターを採用するとよいでしょう。

・巻き上げ方式:シャッター上部のボックスに巻き取られる
・オーバースライダー方式:天井に沿って水平に収納される

ビルトインガレージは、換気も大切です。適切に換気をおこなうことで、臭気や湿気、排気ガスがこもったり居室内に流入したりするのを防げます。

ビルトインガレージの換気対策としては、以下の方法が考えられます。

・換気扇や24時間換気システムを設置する
・窓や換気口を設けて自然換気ができるようにする
・シャッターは通気性のあるものを選ぶ

また、排気する空気やガスの排出箇所も、隣家とトラブルにならないように考慮したいところです。設計段階から、しっかり計画しましょう。

乗降車や入出庫の対策

ビルトインガレージは、両側に壁があるため、乗車や降車がしにくくなります。乗り降りの際にストレスを感じることがないように、じゅうぶんな間口と奥行を確保しましょう。

駐車スペースの必要なサイズは、所有されているお車によって変わります。両側から乗り降りしたい場合は、車幅+120cm程度の余裕が必要でしょう。

目安は、以下のとおりです。

・軽自動車:間口2.7m×奥行4.0m
・大型ミニバン:間口3.2m×奥行6.0m

車庫入れが苦手な方や、車いすから乗り降りされる方は、もう少し間口を広くしたいですね。車に荷物を出し入れする機会が多い場合は、奥行にも余裕が必要です。

前面道路の幅が狭い場合は、間口を広めに取ったほうが駐車しやすくなります。切り返しなしで入出庫したい場合は、少なくとも以下の寸法の間口が必要です。

・前面道路幅4m:前進駐車は3.6m、後退駐車は3.3m
・前面道路幅5m:前進駐車は3.3m、後退駐車は2.6m
・前面道路幅6m:前進駐車は3.3m、後退駐車は2.3m

ビルトインガレージのサイズは、あとから拡張するのが困難です。もし、将来大きい車に買い替える可能性があるなら、それも考慮してサイズを決めましょう

地震の対策

ビルトインガレージの上に家を載せる場合は、耐震・制震構造を考慮した設計や建築技術が必要不可欠になります。ですから、地震の対策では、建築会社選びが重要です。

気になる建築会社が見つかったら、耐震性に対してどのように配慮しているか、設計思想を確認しましょう。たとえば、こんなことが耐震性の向上につながります。

・耐力壁の量と配置バランスに配慮する
・柱の直下率を考慮して間取りを考える
・外観の平面形状にムダなデコボコをつくらない
・できるだけ正方形や長方形に近い間取りにする

直下率とは、上下階の柱の位置が揃っている割合のことです。壁量が足りていても、直下率が低いと倒壊のリスクが高くなります。

熊本地震では、法令が定める耐震基準をクリアしているにもかかわらず倒壊してしまった家が数多くありました。大地震に耐えうる家を建てたいなら、耐震基準を上回る耐震性を備える必要があります。

あなたが依頼したい建築会社がどの水準の耐震性を目指しているのか、しっかりチェックしましょう。

創建ホームがご提案する耐震性能はこちら


ビルトインガレージはメリットも多い!有効活用事例4選

ビルトインガレージはメリットも多い!有効活用事例4選

ビルトインガレージには、メリットもたくさんあります。代表的なものを4つご紹介しましょう。

大切な愛車を風雨や紫外線から守れる・いつでも観賞できる

愛車に対する情熱を持つ方々にとって、車やバイク、自転車は単なる移動手段ではなく、大切なパートナーです。野ざらしは避けたいですよね。

あなたも、こう感じていませんか?

・愛車を家の中に入れてあげたい
・いつも室内から眺めていたい
・屋根のある場所で手入れをしたい

そんな願いを叶えるのがビルトインガレージです。壁や屋根で囲まれたビルトインガレージなら、雨風や紫外線から愛車を守り、車体の美観を長持ちさせてくれるでしょう。

さらにシャッターを設置すると、防犯性も向上します。不審者の侵入を防ぎ、盗難やイタズラから愛車を保護できるため、安心して過ごせます。

界壁に、窓を設けてみてはいかがでしょうか。リビングやダイニング、あるいは自室などから直接、ビルトインガレージ内の愛車を眺められるようになります。

窓のデザインにもこだわり、愛車を一種のアート作品のように飾るのもいいですね。愛車とともに過ごす時間が、より豊かになること間違いなしです。

趣味やアウトドアのスペースとしても、利用できる

ビルトインガレージは車を格納できる「お部屋」です。しっかり壁や屋根がありますので、趣味部屋としても利用できます

たとえば、こんな使い方はいかがでしょうか?

・キャンプ等の道具置き場
・DIYの作業スペース兼工具置き場
・いすやテーブルを備えてティースペースに

ビルトインガレージの床は、一般的にコンクリートやモルタルが多いでしょう。ですから、汚れてもあまり気になりません。DIYの作業をしたり、外で使う道具を置いたりするのにもってこいです。

コンセントや給排水できるシンクがあると、使い方が広がるでしょう。

雨に濡れずに乗降車や荷物の積み下ろしができる

ビルトインガレージなら、カーポートよりさらに風雨を防ぎやすいでしょう。雨の日でも、傘なしで乗降車できますよ。荷物の積み下ろしも、容易になります。

ビルトインガレージに勝手口を設けると、家の中に濡れずに入れます。「ビルトインガレージ ⇔ パントリー ⇔ キッチン」と続く動線にすると、買い出ししてきた食材の収納がラクになります。

パントリーとは?知っておきたいメリット・デメリット(注意点)と使い方

限られた敷地を有効活用!家の面積が増える

狭い日本の住宅地では、効率的な土地利用がとても重要です。1階部分をビルトインガレージにして、2階・3階を居住スペースにすることで、住空間の面積を増やすことができます。

なお、敷地には「容積率」という制限があり、この割合を超える面積の家は建てられません。ビルトインガレージも床面積に算入されますが、一定の緩和措置が適用されます。

参考:建築基準法 第52条(容積率)

屋根のない駐車場は、家の床面積に算入されません。一方、ビルトインガレージの床面積は算入されます。ただし「建物の延床面積の1/5」を上限に容積率の計算から除外できます。

参考:建築基準法施行令 第2条(面積、高さ等の算定方法)

一部または全部を延床面積に参入しなくてよいビルトインガレージは、敷地を有効活用したい場合に重宝します。月極駐車場も、借りなくてよくなります。


【まとめ】後悔のない設計でビルトインガレージを導入しよう

後悔のない設計でビルトインガレージを導入しよう

ビルトインガレージの長所と短所をご紹介しました。長所だけに着目して採用すると、あとで短所に気づいたときに後悔することになりかねません。ちゃんと短所も把握しておきましょう。

長所と短所を理解したうえでビルトインガレージを採用された方は、満足度が高まる傾向があります。短所に対策を実施できれば、さらに「つくってよかった」と感じられるでしょう。

あなたもビルトインガレージの知識を深め、対策済みのビルトインガレージでカーライフを楽しんでみてはいかがでしょうか?きっと、マイホームへの愛着も増しますよ。

創建ホームでは、ビルトインガレージ等の建築実例を公開しております。ビルトインガレージをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

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