fbpx

MY HOME NOTE 知って得する住まいのブログ

更新 住宅の知識

LCCM住宅とは?認定基準やZEHとの違い、補助金について解説

LCCM住宅とは?認定基準やZEHとの違い、補助金について解説

近年「生活で使うエネルギーより、太陽光発電でつくったエネルギーのほうが多い家 (ZEH)」が注目されています。しかし、そんな家であっても、突き詰めると環境への優しさが足りません。

じつは、住宅は建築時や生活時、廃棄時に多くのCO2を排出してしまいます。ですから、創エネ住宅であったとしても、地球の温暖化に手を貸してしまうことになるのです。

これを解決しようとしているのが、LCCM住宅です。本稿では、LCCM住宅の基準メリット・デメリット補助金制度などについて詳しく解説します。ご覧いただくと、LCCM住宅の理解が深まりますよ。

目次

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とは?

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とは

今、LCCM住宅が注目されています。一体、どんな家なのでしょうか?―― 順を追って、ご説明しましょう。

LCCM住宅の特徴

まず、結論から言いますと、LCCM住宅はこんな家です。

・少ない電気代で、真夏も真冬も快適な温度で過ごせる家
・長く暮らせる、寿命が長い家
・CO2の排出量が少なく、地球に優しい家

なぜ、そんな家が必要なのでしょうか?

ご存じのとおり、地球の温暖化が進み、異常気象や自然災害が激甚化しています。これを止めるために、温室効果ガスの代表であるCO2の排出量削減が「待ったなし」の状態なのです。

一方、住宅は建築してから解体・廃棄するまでの間に多くの電気やガス、ガソリンなどを使います。その電気・ガス・ガソリンは、石油や石炭、天然ガスなどの一次エネルギーからつくられています。

参考:JOGMEC「一次エネルギーとは?二次エネルギー、最終消費エネルギーとの関係性も解説」

石油や石炭、天然ガスを使えば(燃やせば)CO2が発生します。つまり、家はそのライフサイクルで間接的に多くのCO2を排出しているのです。

では、CO2の排出を減らすには、どうすればいいのでしょうか?―― 3つの方法をご紹介しましょう。

・できるだけ消費するエネルギーを減らす
・太陽光等の再生可能エネルギーを利用する
・できるだけ長く住み、廃棄する時期を遅らせる

このようなCO2対策ができるように配慮した家が、LCCM住宅です。ですから、LCCM住宅は少ない電気代で快適に過ごせて、しかも長く暮らせるのです。

なぜ、住宅が脱炭素?ZEHや低炭素住宅の普及推進が図られている理由

LCCM住宅とZEHの違い

では、上述の対策を取り入れるために、LCCM住宅に何が求められているのでしょうか?話題のZEHと比べて、どこが違うのでしょうか?

LCCMは「Life Cycle Carbon Minus (ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)」を略したものです。つまり、ライフサイクルを通してCO2の収支をマイナスにする家ですね。

ライフサイクルとは家の生涯、「建築~居住中~廃棄」を指します。LCCM住宅には、この間にできるだけ省CO2に取り組むことが求められます。

たとえば、こんな感じです。

・建築:CO2発生量の少ない材料を選択、使用料の削減、廃棄物削減
・居住中:省エネ、創エネ (太陽光発電)、予防保全、長く暮らす
・廃棄:廃棄物抑制、リサイクルの促進

一方、森林や「ネガティブエミッション」と呼ばれる技術がCO2を除去・減少してくれます。LCCM住宅は、CO2の排出量がそれを上回らないように配慮した住宅です。

参考:経済産業省『ネガティブエミッション技術の 検討方針について』

では、よく混同される「ZEH」と何が違うのでしょうか?

ZEHは「Net Zero Energy House (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、居住中の一次エネルギー消費の収支をゼロにした住宅です。そのため、以下の関係を達成する必要があります。

家で使うエネルギー量 ≦ 家でつくるエネルギー量

LCCM住宅は「ZEHをさらに強化した家」ということになります。具体的には、居住中のさらなる省エネ化と、新築時・廃棄時の省CO2が求められます。

参考:国土交通省 ZEH、LCCM住宅関連事業(補助金)について 用語の定義

LCCM住宅の認定基準

つづいて、LCCM住宅の認定基準を見てみましょう。そうすることで、LCCM住宅の特徴がより鮮明になります。

まず、ZEH住宅の基準をご覧ください。4つあります。

・強化外皮基準(ZEH用の省エネ基準)の達成
・再生可能エネルギー(太陽光発電等、容量不問)を導入
・居住中の一次エネルギー消費の収支をゼロにする
・高効率設備を導入して、一次エネルギー消費量を基準から20%以上削減

住宅における外皮とは、外気に接する部分(外壁・屋根・窓・ドア・床など)のことです。外皮の性能はηA値(いーたえーち)とUA値で表わされ、ともに基準をクリアする必要があります。

・ηA値:値が小さいほど日射が侵入しにくく、冷房効率がよい
・UA値:値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性能が高い

また、太陽光発電パネルを導入して「家で使うエネルギー量 ≦ 家でつくるエネルギー量」を達成する必要があります。ここまでは、ZEHもLCCM住宅も同じです。

ZEHとLCCM住宅は、高効率設備による消費エネルギー量の削減目標が違います。

高効率設備とは、消費エネルギー量の少ない設備(空調、換気、照明、給湯器)のことです。ZEHは、現行の基準消費量から「20%以上削減」が必要です。一方、LCCM住宅は「25%以上削減」が必要です。

参考:省エネルギー庁『ZEHの定義 (改定版)』
参考:LCCM住宅整備推進事業 令和5年度 交付申請等に関するQ&A

なお、LCCM住宅の認定は、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが実施しています。認定を受けることで、LCCM住宅が対象の補助金制度を利用できるようになります。

この認定制度では、建築物を環境性能で評価し格付けする手法(CASBEE)を使い、住宅の環境効率やライフサイクルCO2が評価されます。

その結果、既出の基準を満たし、かつライフサイクルを通してCO2の排出量がマイナスになると見なされれば、LCCM住宅の認定を取得できます。

参考:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター LCCM住宅認定


LCCM住宅のメリットとデメリット

LCCM住宅のメリットとデメリット<

つづいて、LCCM住宅のメリットとデメリットをご紹介しましょう。

建てる前に知っておきたいデメリット

まずは、デメリットから3つご紹介します。

・初期コスト(建築費)が高くなる
・屋根や間取りの形が制限される
・LCCM住宅を建てられる建築会社が少ない

LCCM住宅には、太陽光発電パネルや高性能の断熱材、高効率の住宅設備が必要です。いずれも高価であり、建築コストが高くなります。

また、少しでも多くの太陽光パネルを積むために、屋根形状や傾斜方向が制限されます。その結果、間取りにも制約ができる場合があります。

さらに、LCCM住宅の建築は、まだ先進的な建築会社しか対応できていません。LCCM住宅を建てる際は、まずは建築できる会社探しから始めなければならないでしょう。

LCCM住宅ならではのメリット

次は、LCCM住宅ならではのメリットをご紹介します。

・月々の電気代が安くなる
・医療費の低減が期待できる
・環境に優しい

LCCM住宅は、居住中の一次エネルギー消費量がマイナスになるように設計されます。家で使う電気を太陽光発電でまかない、さらに余った電気を売ることもできるでしょう。

また、LCCM住宅は家中の温度差をなくしやすく、どの部屋も快適な温度で過ごせます。体への負担が減りますので、一部の病気にかかりにくくなるでしょう。ヒートショックも、防ぎやすくなります。

参考:日本サステナブル建築協会『「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存じですか?』

なにより、LCCM住宅はライフサイクルを通してCO2の排出量をマイナスに抑えられます。地球の環境や温暖化を考えると、今後は欠かせない住宅になっていくでしょう。


LCCM住宅の新築時に利用できる補助金制度・減税制度

最後に、LCCM住宅が利用できる補助金制度や減税制度をご紹介します。

LCCM住宅整備推進事業の補助金制度

LCCM住宅は、国土交通省が実施する「LCCM住宅整備推進事業」の補助金制度を利用できます。この制度の補助限度額は、以下のとおりです。

・戸建住宅:140万円/戸
・集合住宅:75万円/戸
※ どちらも掛かり増し費用1/2以内

申請期間は、以下のとおりです。

・第1回募集:令和5年4月17日(月) ~ 令和5年9月29日(金) ・第2回募集:令和5年10月中旬 ~ 令和6年1月中旬の予定

なお、募集期間内であっても、予算に達すると早めに受付終了となる場合があります。LCCM住宅をご検討中の方は、なるべく早くハウスメーカーにご相談ください。

対象住宅の要件は、以下のとおりです。すべて満たす必要があります。

・戸建住宅の新築
・強化外皮基準を満たしたうえで、地域ごとに規定されたUA値以下にする
・高効率設備を導入して、一次エネルギー消費量を基準から25%以上削減
・再生可能エネルギー(太陽光発電等、容量不問)を導入
・居住中の一次エネルギー消費の収支をゼロにする
・規定の方法でLCCO2を算定し、結果がゼロ以下となるもの ・住宅品質がCASBEEのB+ランク、または同等以上の性能があるもの ・交付決定を受けた年度に事業着手するもの ・住宅の立地が「土砂災害特別警戒区域」に該当しないこと

詳細や最新情報は、こちらでお確かめください。

参考:LCCM住宅整備推進事業 概要

住宅ローン減税(所得税の住宅ローン控除)

LCCM住宅は、以下の省エネ住宅や低炭素住宅と見なされることで、住宅ローン減税(所得税の住宅ローン控除)を有利な条件で利用できます

・省エネ基準適合住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・低炭素住宅
・長期優良住宅

それぞれ、適合基準や申請に必要な適合証明書が異なります。ハウスメーカーとご相談のうえ、早めにご対応ください。

参考:国土交通省 住宅ローン減税


【まとめ】ZEHより地球に優いしい「LCCM住宅」とは

近年、さまざまなものや活動が「それは、地球環境にとってどうなのか」という観点で語られています。住宅も例外ではなく、建築や生活、廃棄が地球環境に与える影響を無視できません。

そんな中、認知度が高まってきているのが「LCCM住宅」です。この住宅なら、省エネで暮らせるだけでなく、ライフサイクル(新築時~運用時~廃棄時)を通じてCO2の収支をマイナスにできます

あなたも、子や孫たちの未来のために、エコフレンドリーな住宅を選んでみませんか。自分たちが快適に暮らせるだけでなく、地球環境にも貢献できますよ。

創建ホームでは、家計だけでなく地球環境にも優しい住宅を推進しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

創建ホームの次世代エコ住宅「ZERO-ES」はこちら 》