更新 間取りのこと
注文住宅を建てるとき、ほとんどの方が「どんな間取りにするべきか」と迷われます。とくに、家族やお客さまが長時間一緒に過ごす「LDK」の間取りは、自然と検討時間が長くなりますよね。
LDKのレイアウトでは、長所が多い「L字型」の配置が人気です。しかし、L字型の配置には短所もありますので、両方を理解してから採用していただくほうが満足度を高められるでしょう。
本稿では、L字型リビングのメリット・デメリットと実例をご紹介します。あなたも本稿を参考に、居心地がいい、自分にピッタリのLDKを設計してみませんか。ずっといたくなる空間にしましょう。
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まずは、L字型リビングのデメリットを3つご紹介します。短所を理解しておけば、対策することができますよ。
人は、空間の間口や奥行が長いと「広い」と感じます。つまり、対角線が長い部屋ほど「広い」と感じます。
一方、壁が密集して配置され、視界が遮られると「狭い」と感じます。ですから、同じ面積なら、L字型の空間より箱形(I字型)の空間の方が広く見せやすいのです。
ただし、部屋の容積の知覚は、それ以外の要素も影響します。たとえば、以下のふたつですね。
・天井の高さ:高いほど広く感じる(勾配天井や吹き抜けが有効)
・明るさ:明るいほど広く感じる(明るい色の壁紙や多灯照明が有効)
このような要素を取り入れることで、L字型リビングでも狭く感じることなく過ごせます。大きめの窓を設けて、視界を外へ拡張することも有効です。
LDKをL字型に配置すると、家の平面形状もL字やコの字になりやすいでしょう。そうすると、外観にデコボコができます。
外観にデコボコがあるとデザイン性を高めやすいですが、その反面、壁面積や屋根面積が増えてしまいます。その結果、建築費用が上がりやすくなります。
反対に、建築費用を抑えられる建物の形状は以下のとおりです。
・デコボコが少ない
・総2階(1階と2階が同じ形)
注文住宅の場合、デザイン性とコストは比例する関係にあります。デザイン性を高めれば、コストも上がってしまいます。ですから、デザイン性とコストのバランスを取ることが大切です。
ぜひ、コストも意識しながら、居心地のいいL字型リビングを実現してください。
先述のとおり、L字型リビングがある家は、建物の平面形状もL字型やコの字型になりやすいでしょう。しかし、細身のL字型やコの字型の建物は注意が必要です。
細身のL字型やコの字型の建物は、地震の際、建物の部分ごとにゆれ方が異なってしまいます。
L字型の建物なら、長い縦棒にあたる部分と、短い横棒にあたる部分でゆれ方が変わります。よって、接合部分で破断したり、壊れたりしやすくなります。
地震に強い理想の建物形状は、以下のとおりです。
・デコボコが少ない
・正方形や長方形(ただし、薄い長方形は倒れやすくなるのでNG)
L字型リビングのある家でも、上述のような外観にすることは可能です。ぜひ、設計士と相談しながら、L字型リビングと耐震性を両立させてください。
耐震性に関しては、他にもさまざまな要素が影響します。たとえば、こんなことにも注意したいところです。
・耐力壁(風圧や地震力に耐える壁)の量とバランス
・柱の直下率(1階の柱と2階の柱の位置がそろっている割合)
とは言え、建築士でもない限り、耐力壁・直下率・建物形状などを評価するのは難しいと思います。そんなときは、耐震等級(1から3まである)を確認してみましょう。
耐震等級1なら、建築基準法に定められた最低限の耐震性です。耐震等級3なら、かなり地震に強いとお考えください。創建ホームでは、耐震等級3+αの家をご提案しています。
耐震等級に関しては、こちらの記事でも解説しています。詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
》耐震等級3なら倒壊しない?これからの耐震ニューノーマルを考えよう
つづいて、L字型リビングならではのメリットを3つご紹介しましょう。
L字型リビングは、空間が曲がることで動きが生まれ、個性的な雰囲気にしやすいでしょう。リビング・ダイニング・キッチンがゆるやかに区分されますので、だだっ広さも感じません。
じつは、居室は「広ければ広いほど好まれる」というわけではありません。ある調査では、望ましい居間の面積を聞いたところ「20~30m²」がもっとも多く「40m²」を超えると急減したそうです。
参考:日本建築学会技術報告集『住宅や居間の広さの実態とその満足感および望ましい広さに関するアンケート調査』
L字型のLDKは、リビング・ダイニング・キッチンがゆるやかに区切られます。それぞれの空間が快適な広さになりますので、落ち着いて過ごせます。
L字型リビングは、中庭を囲むのにも適しています。中庭にデッキを設ければ、セカンドリビングのような使い方もできるでしょう。オシャレで居心地がいい、と感じる空間になりますよ。
LDKの配置をL字型にすると、複数の方位に窓を設置しやすくなります。うまく窓を配置することで、一日中、太陽の光を採り入れられるようになるでしょう。
また、リビング・ダイニング・キッチン、どの空間にいても窓までの距離が近くなります。キッチンの正面を窓にすると、後片付けをしているときも開放的な気分になれますよ。
L字型リビングは、採光しやすいのと同じ理由で、通風も確保しやすくなります。自然豊かなところや景色がいいところは、L字型リビングがおすすめです。
リビング・ダイニング・キッチンが一列に並んだレイアウトは、リビングとキッチンの距離が遠くなります。食後に家族がリビングで過ごしているとき、キッチンで後片付けしている人が取り残されます。
一方、L字型リビングは、リビング・ダイニング・キッチン、それぞれの距離が近くなります。対面キッチンにすると、リビングとキッチンのコミュニケーションが取りやすいです。
動線も短くなりますので、家事や移動もラクになるでしょう。家族のコミュニケーションと家事ラク動線にご興味がある方は、L字型リビングをご検討ください。
》キッチン・ダイニング横並びのレイアウト – 3つの実例と長所・短所
L字型リビングの間取り(レイアウト)は、主に3つあります。
・リビング中央タイプ(ダイニング・リビング・キッチンの順に並ぶレイアウト)
・ダイニング中央タイプ(リビング・ダイニング・キッチンの順に並ぶレイアウト)
・キッチン中央タイプ(リビング・キッチン・ダイニングの順に並ぶレイアウト)
どれがいいかは、ケース・バイ・ケースです。以下のようなさまざまな条件を考慮して、検討する必要があります。
・敷地の形状
・前面道路の位置
・隣家の窓の位置
・方位
・日照や風通し
上述のような敷地条件を考慮しようと思うと、間取りは自分の好みだけで決められません。設計士とよく相談しながら、あなたの要望と敷地条件に適した間取りを実現してください。
最後に、弊社がお手伝いさせていただいた「素敵なL字型リビングのあるお家」の実例をご紹介します。
「海の近くで暮らしたい!」という思いを軸に、土地を探された建築主さま。ようやく出会えた理想の土地で「海を眺められる立地を最大限に活用」をテーマに家づくりが始まりました。
こちらのお家は、キッチンの正面にダイニング、ダイニングの隣りにリビングが配置されています。キッチンの眼前に海が広がり、ゆったりした気分でお料理やお片付けができます。
キッチンの隣りにパントリーを配置して、パントリー内に冷蔵庫を隠しました。そうすることで、洗練されたLDKの雰囲気を壊さない、スッキリした印象のダイニング・キッチンになりました。
リビング・ダイニングからも、海を一望できます。いつでも好きなときに、大好きな海を眺めながら、ゆったりした気分で過ごせるお気に入りの空間になりました。
景色を生かすために、窓は大きなハイサッシ窓を採用しています。窓枠が目立ちませんので、邪魔にならず、思う存分オーシャンビューを満喫できます。日当たりも、良好です。
こちらの実例は、以下のページで詳しくご覧いただけます。
つづいて、設計士のご主人さまが自ら「理想の住まい」を設計された事例をご紹介しましょう。
こちらのお家は、キッチンの正面にリビング、隣りにダイニングが配置された間取りになっています。このような配置によって、リビングとダイニングがゆるやかに区分されます。
リビングで映画を見ながらくつろぐ人。ダイニングでお酒を飲みながら読書を楽しむ人。同じ空間にいながら、一人一人が自由に過ごしやすい設計になっています。
キッチンはI型で、2方向に腰壁を配置してアイランド型のような独立したレイアウトに。腰壁から造作のカウンターとテーブルをシームレスにつなげ、モダンで洗練された雰囲気をつくり出しています。
キッチンとダイニングを横並びにすると、配膳がしやすくなります。対面キッチンにすることで、リビングにいる人とのコミュニケーションも取りやすくなります。
この事例の詳細は、以下のページでご覧いただけます。壁の石材や羽板をルーバー状に並べた天井、採光とプライバシーを両立した地窓や高窓も見どころです。
L字型リビングのレイアウトについて、メリット・デメリットや実例をご紹介しました。本稿を参考にオシャレで、明るく、居心地がよいLDKを手に入れてください。
「まだ、自宅に合うか不安……」と感じる方は、ぜひ、L字型リビングの魅力をモデルハウスで体験してみてください。実体験することで、自分にピッタリ合うかどうか確認してから設計に入れますよ。
創建ホームでは、居心地を体感していただけるモデルルームをご用意しております。ご興味がある方は、ぜひご来場ください。