更新 住宅の知識
ホテルのインテリアに憧れたことがないでしょうか。優雅で非日常的で、すてきな空間の代表ですよね。新築するなら、たとえ一部でも「ホテルライクな雰囲気」を取り入れてみたいものです。
とは言え、単純に「ホテルをそのままマネすればOK」というわけにはいきません。住宅とホテルは使用目的が違いますので、ホテルのよいところを住宅用にアレンジして取り入れる姿勢が大切です。
本稿では、ホテルライクな注文住宅を建てるコツや、上質なインテリアにする際のポイントをご紹介します。あなたも、本稿を参考にホテルライクな家を建ててみませんか。
目次 |
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ホテルライクな家にするには、どこにこだわればいいのでしょうか。
ホテルの空間には大事な要素がいくつもありますが、その中でもとくに大切で、住宅にも転用できるものを3つご紹介します。
まず、ご紹介したいのが「上質なインテリア(内装)にこだわる」です。インテリアがチープに見えると、ホテルライクな雰囲気を出せません。
ホテルライクなインテリアにするなら、自然で高品質な素材をうまく活用しましょう。空間に、重厚感や高級感を付加できますよ。
「自然で高品質な素材」の例をあげておきます。
・石材
・タイル
・無垢材
・アイアン
・漆喰
落ち着いた雰囲気のインテリアにしようと思うと、お部屋の中でもっとも広い面積を占める「メインカラー」が淡く単調になりがちです。
そんなときは、上質な自然素材が持つ「生き生きとした色味」をアソートカラー(メインカラーの従属色)にするとよいでしょう。人工的な素材にない風合いも、空間演出に貢献してくれます。
なお、メインカラーとアソートカラー、それからアクセントカラーは以下の割合にするのが定石です。
・メインカラー:70%
・アソートカラー:25%
・アクセントカラー:5%
皮革のソファを置いたり、上質なテキスタイルのカーテンをつるしたりするのもよいでしょう。優雅な観葉植物も、ホテルライクなインテリアに映えます。
ホテルの空間は、とても美しく洗練されています。この美しさや洗練度を住宅で再現したいなら、インテリアは細部までこだわる必要があります。
たとえば、幅木(床と壁が接する部分を覆う材料)や回り縁(壁と天井が接する部分を覆う材料)もないがしろにできません。以下のようにすると、手軽にハイセンスな雰囲気になります。
・幅木 ⇒ 細身の幅木(ひも幅木)
・回り縁 ⇒ なし、底目地
回り縁をなしにする場合は、底目地と呼ばれる溝を入れると、細部にこだわった感じになります。洋風住宅なら、オーセンティックなモールディングを取りつけるのもよいでしょう。
参考:文化遺産オンライン 旧鴻池銀行七条支店のモールディング
ほかにも、住宅に転用できるハイセンスな要素がありますので、一例をご紹介しましょう。
・床 ⇒ 大理石調
・壁紙 ⇒ グレー系や輸入壁紙
・室内ドア ⇒ 天井まであるハイドア
・カーテン ⇒ カーテンボックスをつける
床は、よく利用されているフローリングだけでなく、その他の素材もご検討ください。たとえば、大理石調のタイルやそれを模したビニル床タイルを使うと、ホテルライクな雰囲気になります。
壁紙(クロス)は、一般的な住宅でよく使われるオフホワイト系よりやや暗めの色(グレーなど)が多用されています。輸入クロスもハイセンスな絵柄や伝統的な絵柄が多く、おすすめです。
天井まであるハイドアやカーテンボックスも、ハイセンス系インテリアの定番でしょう。モダンな雰囲気にするなら、バーチカルブラインドもおすすめです。
ホテルライクな雰囲気をつくりたいなら、ライティングは手を抜いてはいけません。ライティングのポイントをご紹介しましょう。
ホテルは、例外なく綿密な照明計画を立てています。見せたいところだけ光を当てて強調することで、非日常感やドキドキ感を演出しているのです。
また、照明器具自体を目立たせないようにしています。そのため、家や造作家具と一体となった照明(建築化照明)を多用して、以下のようなライティングを心がけています。
・壁や天井に反射させた、やや暗く穏やかな光を利用
・光量が必要な場所には、補助的な照明を追加
建築化照明は一般住宅でも実現できますので、うまく活用して「非日常感やドキドキ感」を演出していただくとよいでしょう。
器具が丸見えになる「シーリングライト」は、おすすめできません。一方、同じく器具が丸見えの「ペンダントライト」は、意匠性の高いものが多いので探してみてください。
ダウンライトは「グレアレス」と呼ばれるタイプがおすすめです。光源や照明器具が見えにくい設計になっていますので、ホテルでもよく使われています。
ぜひ、スイッチプレートもこだわってください。面取りされていないスクエアタイプのものや、ライン型のもの(Sプレート等)が人気です。
参考:JIMBO NKシリーズ
参考:Panasonic 狭小スペース・住設機器組み込み用:Sプレート
日本の住宅は、一室一灯が一般的です。しかし、ホテルのような空間にしたいのなら、一室多灯にすることをおすすめします。
複数の照明を使うと空間に陰影がつき、立体感が出ます。一灯一灯の明るさを少し落とすことで、しっとりとした雰囲気になり、リラックスできますよ。
たとえば、ダウンライトで床を照らし、建築化照明で壁や天井を照らす手法は、ホテルだけでなく一般住宅でもよく使われています。
・壁を照らせる照明:コーニス照明、ブラケット照明など
・天井を照らせる照明:コーブ照明、スタンド照明など
天井を一部くぼませた「折り上げ天井」にコーブ照明を仕込むライティングも、ホテルのレストランなどで多用されています。ムードある雰囲気になるだけでなく、空間が広くなったように感じます。
ホテルの魅力と言えば「非日常」でしょう。ですから、生活感を感じさせるような状態にならないように、さまざまな工夫をしています。
では、住宅では、どうすれば生活感を薄れさせられるのでしょうか。―― ポイントをご紹介しましょう。
余裕のある開放的な空間は、非日常の演出に役立ちます。お部屋を広めにして余白をつくると、余裕が生まれるでしょう。家具等を少なくして、通路幅を広く取るのもおすすめです。
天井を高めにしたり吹き抜けを設けたりすると、開放感が出ます。とりわけ、LDKや玄関は天井を高くすると効果的です。圧迫感が軽減され、ゆったりとした空間になります。
とは言え、ご予算や建築面積の制限がある中で、すべての部屋にゆとりを持たせることは困難でしょう。
「ここだけは!」というお部屋を決めて、ホテルライクに仕上げてみてはいかがでしょうか。リビングや寝室、洗面化粧台などはホテルライクにしやすいですよ。
近年「見せる収納」が人気ですが、ホテルライクにするなら、積極的に「隠す収納」を取り入れていただくとよいでしょう。
とくに、雑然としやすいのがキッチンです。パントリー等の収納を設けて見せたくないものを隠していただくと、キッチンがすっきりしますよ。
》隠すキッチン収納のコツ – 生活感をなくす方法やインテリア実例を紹介
ファミリークローゼットなどの大型収納も便利です。まとめて収納しておくことで、ほかの部屋の収納をなくせます。
収納や収納扉がなくなったお部屋は、すっきりとした見た目になりますよ。
》ファミリークローゼットがある間取りのアイデアと、収納方法の実例
家具は、お部屋の印象に大きな影響を与えます。インテリアと調和する家具を選びたいところです。
さらに、家具を置きすぎないように注意しましょう。床にしっかり余白を残し、動線となる通路を広めに確保すると、空間にゆとりと余裕が生まれます。
LDKをホテルライクにしたい方は、ソファにこだわりましょう。ゆったりと座れるL型のソファが人気です。選び方のポイントをご紹介します。
・優雅で豪華に見えるもの
・ベーシックな色のもの
・座面が広いもの
ソファに置くクッションも、重要です。海外のラグジュアリーなホテルでも、定番アイテムですよね。
クッションは、カバーを取り替えるだけで手軽に雰囲気を変えられます。お部屋の差し色(アクセントカラー)として利用することもできます。
部屋全体は上品な色でまとめて、クッションカバーに個性的な色柄を選ぶと、オシャレに見えます。
さて、そもそも「ホテルライクな家」とはどのような家なのでしょうか。もう少し深掘りしてみましょう。
ホテルライクとは「ホテルのような」という意味です。たとえば「上品、優雅、豪華、重厚、ゆったり、くつろぎ、非日常」といった言葉がキーワードになるでしょう。
このキーワードのような雰囲気を兼ね備えている住宅が「ホテルライクな家」です。感性が磨かれるような高揚感と、もてなされているような心地よさを味わえます。
ただし、ひとくちに「ホテル」といっても「クラシカル、リゾート、高級旅館、ロッジ」などさまざまなスタイルがあります。まずは、自分の好みのスタイルを見つけていただくとよいでしょう。
つづいて、ホテルライクな家の注意点をご紹介しましょう。
上質な空間をつくるには、コスト(お金や打ち合わせの時間)がかかります。上品でデザインが優れている建材や設備、家具は、往々にして価格も高いでしょう。
また、ホテルライクな状態を維持するには手間もかかります。当然ながら、こまめに掃除をすることが大切で、ものが散らかった状態になるとホテルライクから遠ざかってしまいます。
少しでもコストや手間を抑えたいなら、ホテルライクに仕上げる場所を絞ってください。見せ場を分散させず、できるだけものや家具を置かないようにするとよいでしょう。
ホテルライクを目指すと「見た目」の優先順位が高くなりがちです。家事動線や生活動線、生活のしやすさが犠牲になりやすいのでご注意ください。
たとえば、ホテルライクなライティングはムードを出すには適していますが、生活するにはちょっと暗いかもしれません。しかし、生活しづらくなってしまっては本末転倒です。
ホテルと住宅は、利用目的が違います。ですから「ホテルっぽくできるが、ホテルと同じにはできない」とお考えください。日常生活とホテルライクのバランスを取ることが大切です。
次は、ホテルライクな家のメリットをご紹介しましょう。
ホテルのインテリアコーディネートは、いつの時代も「快適で上質な心地よさ」を追求しています。ですから、傾向に「はやり (流行)」はあっても、軸になるコンセプトは変わりません (不易)。
快適で上質な空間は、いつまでも古びません。10年、20年と経過したあとでも、快適さや上質さを留めているでしょう。経年をポジティブに楽しめるのも、ホテルライクの魅力です。
ホテルライクな空間は、まるで旅先にいるような非日常体験を楽しめます。そのような空間は気分を「くつろぎモード」にスイッチしやすく、お仕事の疲れを癒してくれるでしょう。
在宅ワークの方は、ワークスペースをホテルライクにしてみてはいかがでしょうか。ワーケーション気分を味わえるかもしれません。来客があったときにも、役立つでしょう。
ホテルライクなインテリアにこだわると、上品で優雅な雰囲気になります。広々とした空間やリラックスできる照明、こだわりの家具などに囲まれて過ごす時間は、きっと上質なものになるでしょう。
上質なホテルに滞在したとき、あなたは何を感じますか?活力や刺激を得たり、日常から解き放たれたり、リフレッシュしたりするでしょう。ホテルライクな空間でも、同じことが起こります。
ホテルライクな注文住宅を建てたいなら、ハウスメーカー選びが大切です。設計のセンスや自由度が高く、インテリアコーディネーターがいる会社をおすすめします。
ホテルの内装や照明計画に精通しているなら、なおよいでしょう。家具やアート、観葉植物の知識も求められます。ぜひ「実績」と「頼りがい」のある会社を探してください。
創建ホームは、お客さまのご希望を形にできる設計士とインテリアコーディネーターが在籍しています。グループ内にホテル、家具ストア、観葉植物ストアもございます。
また、さまざまな角度から注文住宅のご提案ができます。もし、あなたがホテルライクな家づくりをご検討中で、ご不安やお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。